家畜ふんに食品廃棄物を混合したメタン発酵について

概要

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家畜ふんのメタン発酵では有機物の分解率を高めて消化ガスの発生量を上げる必要があった.そこで,3種類の方法で実験を行なった.1) 0.3mm目のふるいで家畜ふん中の難分解性物質を含む粗大物を篩別除去する方法.2) 篩別した家畜ふんに残飯を混合する方法.3) 篩別家畜ふんに残飯を加えさらに食品廃油を混合する方法.その結果,粗大物を除去することによりVS: BODの比は豚ふんで100:81に改善され,ガス化量も0.53l/gVSと豚ふんの約25%増となった.鶏ふん,牛ふんの場合も同様に約42%増のガス化量が認められた.豚ふん2:残飯1の混合汚水ではVS: BOD: VFAの比が100:78:7で,BOD: Nの比は16:1であり,残飯を混合することによりガス化量は0.78l/gVSと有機物の分解率が著しく高くなった。これは,残飯中の易分解性有機物によって微生物活性が上がり,豚ふん中のVSの分解を一層高める効果があったことを示唆する.豚ふん2:残飯1の汚水に対して1%の食品廃油を混合したメタン発酵では0.72l/gVSのガス化量が認められ,粗脂肪分解率65,4%,VFA除去率96,5%と高率であり,食品廃棄物の添加は豚ふんのメタン発酵に極めて有効であることが示唆された。
社団法人日本畜産学会の論文