半根施肥による水耕茶樹のリン酸吸収と体内移行

概要

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全層施肥や下層施肥が困難な茶園におけるリン酸の施肥位置問題に関する基礎的知見を得るため,全層施肥法と,表層施肥法の比較を,水耕法による全根施肥と半根施肥の比較に置きかえて,リン酸の吸収,移行の面から検討した。<BR>リン酸の施与を根系の半分に制限しても,それに応じて培地のリン酸濃度を2倍に高め,同一量のリン酸を与えると,個体のリン酸吸収量は,全根施肥の場合と変らなかった。リン酸無施根のリン酸濃度は,樹体のリン酸濃度が高い場合には,細根では,施肥根と変らなかったが,側根では半減した。しかし,リン酸無施根側の茎の地際部に半輪状剥皮を施すか,樹体のリン酸濃度が相対的に低い場合には,細根のリン酸濃度も施肥根に比べ著しく低下した。これらの結果から,リン酸無施根へのリン酸移行は,地上部を経由して行われることから,そこでのリン酸要求度が小さければ容易に行われるが,それが大きければ,移行は阻害され,緩慢になるものと推定された。リン酸無施根による他の養分吸収も,上述のリン酸移行の状況によって大きく影響された。
日本茶業技術協会の論文