茶芽の生育に伴う茶葉の全窒素,遊離アミノ酸カフェイン,タンニンの変化
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概要
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腐植質火山灰土壌に栽植したやぶきた5年生茶園において,一番茶芽の伸育に伴う新芽とその母葉の全窒素,遊離アミノ酸,カフェイン,タンニンの変化を調査し,次の結果を得た。<BR>1.全窒素は,新芽では,萌芽期から2.7開葉期(摘採適期12日前,-12日)まで増加したのち,減少した。母葉では,1.6開葉期(-21日)から減少を始めるが,摘採により増加に転じ,二番茶二葉期頃まで増加しつづけた。<BR>2.新芽の主要アミノ酸は,テアニン,グルタミン酸,アルギニン,セリン,アスパラギン酸で,このうち,テアニンは,終始全アミノ酸の約70%を占めた。全アミノ酸とテアニンは,4.1開葉期(-5日)まで,アルギニン,セリン,アスパラギン酸は,2.7開葉期(-12日)までそれぞれ微増したのち,急速に減少し始め,摘採適期(4.6開葉期,出開度60%)には,すでに最高時の2/3〜1/2に激減した。しかし,グルタミン酸のみは,熟度に関係なく,ほぼ一定の濃度に保たれた。<BR>3.母葉の主要アミノ酸の種類は,新芽のそれと同じであったが,新芽に比べ,量的にも,テアニンの割合も著しく少く,ほぼその1/3程度にとどまった。各アミノ酸は,その挙動から,次の三種のタイプに区分でぎることが明らかにされ,それぞれの栄養生理的,生化学的役割が示唆された。<BR>(1)テアンニ型(テアニン):茶芽の伸育とともに減少し,摘採により著しく増加する。窒素の貯蔵,移行形態。<BR>(2)グルタミン酸型(グルタミン酸,アスパラギン酸,NH<SUB>3</SUB>):茶芽の伸育や摘採の有無に係わりなく,終始ほぼ一定に保たれる。アミノ基転移反応における役割。<BR>(3)微量アミノ酸型((1),(2)以外の全アミノ酸)<BR>摘採適期以降,無摘採区で急増し,摘採区では漸減する。新芽の窒素要求度に応じた母葉中の窒素代謝の可変性(貯蔵蛋白の分解または合成)を示唆。<BR>4.カフェインの挙動は,全窒素のそれに類似し,全アミノ酸,テアニンのそれよりは,おだやかであった。<BR>5.タンニンも,新芽では,窒素化合物に似た動ぎを示した。しかし,母葉では,摘採適期まではゆるやかに増加し,それ以降,無摘採区では,ひきつづき速度を速めながら増加したが,摘採区では,摘採直後から数日間急増したのち,二番茶芽の一葉期まで減少を続けた。
- 日本茶業技術協会の論文
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