個体選抜における耐寒性について
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概要
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品種の育成材料を供試し,栽培環境の相違が耐寒性にどのように影響するかについて調査した。<BR>1.防風ほ場では,冬季における茶樹の被害は軽減され,吹きさらしのほ場では促進された。<BR>2.耐寒性の年次間相関をみると,吹きさらしほ場のほうが年によって変動しやすく,相関関係は低下した。<BR>3.低温抵抗性と耐寒性との相関をみると,防風,吹きさらしほ場とも高い相関関係がみられる。しかし,防風ほ場のほうが,低温抵抗性と耐寒性とがよく一致しており,低温抵抗性から耐寒性が推定しやすい。<BR>4,耐寒性と樹勢との関係であるが,一般には耐寒性が樹勢の良否で左右されるようなことはない。しかし,アッサム種と組み合わせた後代は耐寒性が弱い個体が多い。吹きさらしほ場の場合,このような個体群は樹勢によって影響される傾向がみられてきた。<BR>5.防風,吹きさらし両ほ場の個体群についての低温抵抗性の遺伝力は大差ない価を示した。<BR>6.低温抵抗性からみて同じ組合せのものを取りまとめ,そのF<SUB>1</SUB>の耐寒性の分離状態を比較すると,吹きさらしほ場の個体群の耐寒性の指数が弱く現われている。<BR>これは低温による被害が風によって促進されたものと思われる。<BR>7,耐寒性は栽培環境の違いで異なってくるので,この点,選抜にあたっては注意を要する。選抜の過程において適確なる選抜を行なうには,他の地域に対する適応性が推定できるような検定法の確立が必要である。
- 日本茶業技術協会の論文
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