Lactobacillus caseiの生産するペプチドおよびアミノ酸がビフィズス菌の生酸性に及ぼす影響
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概要
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ビフィズス菌をL. caseiと混合培養した時,ビフィズス菌の発育性が著しく改善された.従ってこの原因を究明するために窒素源供給の観点から,L. caseiにより牛乳中で形成される低分子窒素化合物特にペプチドおよび遊離アミノ酸を分離し,それらがビフィズス菌の生酸性への効果について検討した.使用した菌種はBifidobacterium breve, B. infantisおよびL. caseiであった.培養〓液の調製はDAHIYEら,遊離アミノ酸の除去はMARKOVITZらの方法によった.主要な結果は次の通りである.1. L. caseiの24時間培養の培養〓液およびその〓液から遊離アミノ酸を除去したものをそれぞれ牛乳に添加し,ビフィズス菌の生酸性への影響について検討した結果,両培養〓液とも対照に比して生酸性促進の効果が認められ,その促進効果は前者の培養〓液の方がより大であった.2. 牛乳に各種アミノ酸の単独または混合添加,さらには除去試験の結果,ビフィズス菌の生酸性を著しく促進したアミノ酸は,cystineで,その効果はB. breveよりB. infantisの場合に大であった.IsoleucineおよびtryptophanはB. infantisの酸生産を阻害したが,cystineとisoleucinxあるいはtryptophanとの混合添加では,isoleucineまたはtryptophanの添加量の増加にてよって,cystineの促進効果は著しく阻害された.3. L. caseiによる培養〓液をSephadex G-15でゲル〓過し,生酸性促進効果を示す画分から,〓紙電気泳動により5種のペプチドを単離したがそれらの分子量の範囲は948から2,319であった.なおそれらのペプチド中に見出されたLys, Met, Ala, LeuとValがビフィズス菌の生酸性を促進するものと推察された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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