食肉におけるNα-ココイル-L-アルギニンエチルエステル•DL-ピロリドンカルボン酸塩の抗ボツリヌス作用
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概要
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亜硝酸塩には抗ボツリヌス作用および発色効果があるので畜肉加工食品に添加されているが,発がん性のニトロソ化合物の生成に関与することからその添加量の減少が望まれている.我々は,抗菌作用があり,安全性が高いと思われるアミノ酸誘導体,Nα-ココイル-L-アルギニンエチルエステル.DL-ピロリドンカルボン酸塩(CAE)に着目し,CAEは培地中25ppmの添加でClostridium botulinum okraの生育と毒素生成を抑制することを明らかにしている.本報は食肉中におけるCAEのC. botulinum okraに対する効果を調べ,亜硝酸塩の代替物としての可能性を検討することを目的とした.食肉中では,CAE 2,500〜10,000ppmの添加でC. botulirium okraの毒素生成は無添加時の10分の1に抑制された.この抑制効果はソルビン酸と同程度であると思われる.培地を用いた場合に比べ抑制効果が弱かったのは,CAEが肉タンパク質に吸着されたためではないかと推察した,亜硝酸塩との併用でもCAEの抗ボツリヌス作用は減少せず,CAE 100ppm,亜硝酸塩50ppmを組み合わせた場合の抗菌力は,CAE単独2,500ppm,あるいは亜硝酸塩単独150ppmを添加した場合に相当した.Ames法でCAEの突然変異原性を調べたところ,変異原性は認められなかった.以上の結果から,CAEは亜硝酸塩の代替物としてだけでなく,加工食品の保存料として利用できる可能性が示された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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