鶏肉の粘弾性におよぼすケージ内床面積の影響
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概要
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本報告は,ケージ内床面積の広さが鶏のテバ肉とモモ肉の粘弾性に与える影響を調べるとともに,その影響が鶏肉の部位間でどのように異なるかを検討したものである.供試鶏はCornish (♂)×White Rock (♀)-F1の雌,20羽である.これらの鶏が5週齢になった時,それぞれケージ内収容羽数および床面積の異なる単飼育区,ケージ当たり2羽飼育区ならびに群飼育区に分けて,20週齢まで飼育した.屠殺直後,テバ肉とモモ肉を採取し,すみやかにポリエチレン製袋に入れて,-25°Cで凍結保存した後,筋線維に沿って,およそ長さ50mm,幅20mm,厚さ2〜4mmの切片を得た.これらの切片をダンベル型に整形して試料肉切片とし,鎖荷重式フード•レオメータ(田葉井製)を用いて30±1°C,相対湿度50±5%の条件下で応力緩和試験(引き伸し距離:13.5mm,引き伸し速度:2.8mm/sec,測定時間:5min)を行なった.応力緩和試験から得られるパラメータはFmax(gw), τ(sec)およびS/f0(%)である.結果はつぎの通りであった.1) テバ肉のτ値は,群飼育区が単独飼育区およびケージ当たり2羽飼育区よりも小であった(P〈0.05).このことから,前者でのテバ肉の方が後二者のテバ肉よりも弾力に乏しいものと考えられた.2) モモ肉のS/f0値は,群飼育区での方がケージ当たり2羽飼育区のものより大きく(P〈0.05),前者のモモ肉の方が後者のモモ肉よりも破壊(咀しゃく)されにくいものと考えられた.3) Fmax値はどの実験飼育区においても,モモ肉の方がテバ肉のそれよりも大きく(P〈0.05),モモ肉はテバ肉よりもコシ(腰:伸びに対して強い抵抗を示す性質)が強いものと考えられた.4) 群飼育区鶏肉のτ値は,モモ肉の方がテバ肉よりも大きく(P〈0.05),モモ肉はテバ肉よりも弾力に乏しくかたい(こわい)ものと考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文