牛消化管内各部位におけるルーメン内繊毛虫,嫌気性細菌の分布および揮発性脂肪酸,乳酸の消長
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概要
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牛消化管内における微生物およびそれらによる生産物の消長を知る貝的で,消化管を9部位に区分し,揮発性脂肪酸(VFA),乳酸の消長および嫌気性細菌,ルーメン繊毛虫の分布について検討した.その結果,VFA量はルーメンおよび盲腸で,乳酸量は空腸および回腸で高かった.細菌構成は,ルーメンおよび盲腸ではBacteroi-des,Veillonella,Selenomonasなどのグラム陰性菌が主として分離され,空腸および回腸ではStreptococcus,Lactobacillusなどのグラム陽性菌が優位に検出された.ルーメン繊毛虫の分布に関しては,ルーメンおよび第二胃では繊毛虫数はいずれもほぼ6×105/mlで,両者間に差異は認められなかったが,第三胃ではこれらの繊毛虫数のおよそ14%に減少した.しかしながら,第三胃においても約69%の繊毛虫がなお運動性を保っていた.このことは,ルーメンあるいは第二胃に生息する繊毛虫が,何らかの要因により第三胃へり流出をのがれていることを示唆するものと考えられる.極めてわずかの繊毛虫が第四胃以下の部位にも認められたが,それらの部位においては完全な形態を有する繊毛虫はほとんど認められなかった.このことは,ルーメン繊毛虫が牛の下部消化管においてそのほとんどが分解されることを示しているが,第三胃に流出する繊毛虫数が,ルーメン内におけるそれと較べてかなり少ないことは,繊毛虫の宿主に対する栄養的役割を考える場合,従来考えられていた量よりかなり少ない量を見積らなければならないことを示唆している.
著者
-
今井 壮一
日本獣医畜産大学獣医寄生虫学教室
-
扇元 敬司
東北大学農学部
-
今井 壮一
日本獣医畜産大
-
今井 壮一
日本獣医畜産大学
-
柳田 則明
東北大学農学部
-
片桐 勝則
Nagano Mutual Aid of Association of Agriculture
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