下垂体前葉除去鶏におけるLHによる誘起排卵に及ぼすエストロジェンおよびプロジェステロンの影響
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概要
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下垂体前葉除去鶏を用い外因性LHによる誘起排卵に及ぼすエストロジェンおよびプロジェステロンの影響について検討するために実験を行った.実験Iでは,通常産卵鶏のC2排卵予定時刻の約18時間前に下量体前葉の除去を行い,前葉除去後8時間にLH (NIH-LH-S19)を静注した.さらに,エストラジオール(E)あるいはプロジェステロン(P)をLH注射の6時間前,30分前,同時(0分)および30分後にそれぞれ静注した.その結果,LHのみを投与された鶏のほとんどで,第1最大卵胞と第2最大卵胞の2個の排卵が誘起された.これに対し,Eを投与された鶏では,LH注射前の比較的広い時間の範囲でLHの単独投与の際に高率で誘起された第2最大卵胞の排卵が減少する傾向を示し,とくに同時投与の際に顕著であった.一方,P投与の場合には,LH注射の0分および30分前に投与された際に,第2最大卵胞の排卵が著しく減少した.また,P投与の場合,LH注射から排卵誘起までの時間はLH単独投与の場合より短縮される傾向が認められた.実験IIは,EおよびPの排卵に与える影響が,卵胞の大きさによって異なるかどうかを知るために行った.PMSGを6日間注射し,最終注射後24時間に下垂体前葉の除去を行い,除去後8時間にLHならびにLHとEあるいはPとを同時に投与した.E投与では,LH単独投与に比べ,排卵率(排卵個体/投与個体)には差はみられなかったが,誘起排卵を示した鶏において,処理前の正常Ct卵の卵黄重量よりも小さな卵胞の排卵数が減少する傾向が認められた.一方,P投与の場合には,LH単独投与に比べ排卵率ならびにCt以上の重量の卵胞の排卵数が増加することが認められた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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小川 清彦
鹿児島大学農学部
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松尾 昌一
鹿児島大学農学部
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東條 英昭
鹿児島大学農学部
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頴川 秀壱
鹿児島大学農学都
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東條 英昭
鹿児島大学農学都
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小川 清彦
鹿児島大学農学都
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松尾 昌一
鹿児島大学農学都
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