鶏の排卵過程におけるエストラジオールおよびプロジェステロンの意義について
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概要
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ステロイド生合成過程のうち,コレステロールから20α-ハイドロキシコレステロールへの転換を阻害するaminoglutethimide phosphate (AGP)を用い,鶏の排卵過程におけるエストラジオール(E2)およびプロジェステロン(P)の意義について検討した.C2排卵予定時刻の12ないし16時間前にLH(250μg)を単独あるいはLH投与の前後回にわたってAGPを併用投与した.さらに,AGPを投与した鶏の一部に10mgのE2あるいはPを皮下注射した.これらの鶏からLH注射後0〜90分の間に4回採血を行ない,血漿中のE2およびP量をRIAによって測定した.供試鶏はLH注射の10時間後に全て屠殺し,誘起排卵の状況を調べた.LHを排卵予定16時間前に投与した場合,誘起排卵は全くみられず,これらの鶏の血中P量はLH注射後有意に増加したものの30分後で最高値を示しその後減少した.しかし,LHの注射が排卵12時間前に行なわれた場合は,全ての鶏で排卵が誘起され,血中P量は60分ないし90分まで有意に増加した,これらに短し,血中E2量には,LH投与による変動はほとんど観察されなかった.一方,AGPをLH注射の前後3回(全150mg)に分けて投与した場合,本来LH投与によって誘起されるべき排卵が完全に阻止された.これらの鶏では,LH注射後P量の増加がほとんど認められなかった.さらに,AGPによる誘起排卵阻止反応はPを投与した際に幾分回復する傾向がみられた.しかし,E2投与の場合にはそのような効果は認められなかった.以上の結果から,Pは鶏においてLHが成熟卵胞に作用した後の排卵過程に重要な役割を果たしていることが推察される.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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東條 英昭
鹿児島大学農学部
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HUSTON Till
ジョージア大学家禽学科
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HUSTON Till
Department of Poultry Science, University of Georgia
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