鶏精子の凍結保存に対する副生殖器官液の影響について

概要

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鶏副生殖器官液の混入が凍結処理精子の形態ならびに運動性に及ぼす影響を追究する目的で,遠心分離により採取した精子を血清成分および精漿成分を,種々の割合で添加した5.7%ブドウ糖溶液に浮遊させストロー法により凍結保存した.精液を融解後,精子の運動性および奇形率について観察した.その結果は次の通りである.1) 血清,精漿および両体液の低分子画分(分子量約10,000未満)は,凍結保存用希釈液への添加割合が50%までの場合には融解精子の運動性に顕著な影響を及ぼさなかったが,100%の場合には著しい悪影響を与えた.2) 血清,精漿および両体液の低分子画分は,希釈液への添加割合が増加するにしたがって融解後の精子の奇形率を増加させた.3) 希釈液に添加した血清および精漿の高分子画分(分子量10,000以上)は,いずれの濃度の場合にも凍結処理精子の形態および運動性にほとんど悪影響を及ぼさなかった.4) これらのことから,凍結精液に混入する副生殖器官液は融解後の精子の形態,運動性,したがって受精率に悪影響を及ぼすものと推察された.また,そのような影響を及ぼす因子は副生殖器官液の高分子画分にはなく,低分子画分に存在するものと推定された.
社団法人日本畜産学会の論文