年間林牧馬の血清蛋白結合沃度
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概要
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北大日高実験牧場の年間林牧馬を用いて, その血清中のPBI濃度の測定を行ない, 甲状腺機能と年令, 品種, 管理等との関係およびその季節的変動を観察し, これらの問題に対する基礎的な資料を得ようと試みた。<BR>測定は1955年12月, 1956年3月, 6月, 9月の4回にわたり, 中半血種林牧馬3.5才以上, 同じく1.5才, 北海道和種林牧馬, 収厩馬のいずれも雌馬から成るグループについて行なつた。<BR>1. 各グループとも, 季節によるPBI濃度の変動は統計的に有意で, 秋から冬に向かつて低下し, 春・夏と上昇し, ての変化は気温の変化と一致した。季節による変動のしかたは, 品種, 年令, 管理の差によつて, 統計的に有意の差はなかつた。これらのことから, 寒冷下では, すでによく知られているように, 甲状腺自身の機能が活発になるのみならず, 我々の実験の結果によつて, 生体の甲状腺ホルモンの消費も増加していることが明きらかとなり, 甲状腺機能が活発になることの必然性が確かめられた。<BR>2. PBI濃度の秋・冬・春・夏の平均値では, 年令, 品種, 管理の差によつて, いずれも1%水準で有意な差があり, 中半血種林牧馬では年令の若いグループ, 中半血種と和種では和種, 中半血種の林牧馬と収厩馬とでは収厩馬が, それぞれ高い値を示した。<BR>3. PBI濃度のグループ内の分散は, 中半血種1.5才のグループを除いて, 冬に夏より大きく, 気温の低い条件で, 甲状腺機能が激しく活動する時期に, 個体問の変動が大きくなる傾向が認められた。<BR>4.各グループ内の個体差は, すべて統計的に有意であつた。<BR>5.以上の諸結果によつて, 甲状腺機能の家畜の耐寒性における意義を考察し, 放牧に適した家畜, 耐寒性にすぐれた家畜を選抜もしくは育成するにあたつて, 甲状腺機能を表わすなんらかの指標を, その手段として用いる可能性を指摘した。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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