人工第一胃におけるガス産生像とその飼料価値評価への応用に関する研究 : VI. ビートパルプ給与牛の第一胃微生物叢を用いてえられるガス産生曲線について
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概要
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牧乾草を主体とする飼料で飼養されている牛の第一胃微生物叢を用いた重炭酸塩緩衝人工第一胃によりえられるガス産生曲線(G曲線)の基質特異性が,ビートパルプ(BP)を給与(2.0kg/head/day)した牛の第一胃微生物叢を用いた場合に失われる傾向のあるらしいことが認められたので,これを確認するため,本試験を行った.結果の概要は以下のごとくである.1) 牧乾草主体飼料期の対照および試験両牛の第一胃微生物叢を用いてえられたG曲線はトウモロコシ(C)と大豆粕(S)のいずれを基質にした場合も既報どおりの基質特異性を示した.2) BPを給与した牛の微生物叢によってえられた両基質のG曲線は,6日間のBP給与日の経過とともに,その培養5時間以後のガス産生速度が低下する傾向を示した.とくにCのG曲線においてはBP給与後の第1日目からこれが顕著に認められ,第2日目でその基質特異性は消失した.3) BP給与を中止した後の第一胃微生物叢を用いてえられたCのG曲線は,中止後4日目でかなり回復する傾向を示したが,第12日目においてもその基質特異性が完全には回復していないのを認めた.これがほぼ完全に回復するには少なくとも45日を必要とするものと思われた.4) 対照半の微生物叢を用いて,BPを基質としたBPのG曲線を求めたところ,これは既報のデンプン,アマニ粕,落花生粕のそれに似ていた.5) Cを多給した牛の微生物叢を用いて,Cを基質としてえたそのG曲線はC給与後第5日目で,その基質特異性の消失する傾向を示した.しかし,これを牧乾草主体飼料に切換えた場合,第2日目でその基質特異性は完全に回復した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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