非蛋白態窒素源の添加が人工第一胃内のガス産生像に及ぼす影響
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概要
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所定の人工第一胃内でえられるガス産生像が反芻動物における非蛋白態窒素化合物(NPN)の利用性の判別に応用できるかどうかを知るため,ペクチンまたはトウモロコシを基質にした場合のガス産生像に及ぼすNPN添加の影響を検討した.結果の概要は以下のごとくである.1) ペクチン1.0gに対して,尿素,ビューレットおよびカゼインを窒素(N)として20mg添加することによってえられたガス産生曲線は各添加N源によって特異性のある像を示した.2) トウモロコシ1.5gを基質にした場合,尿素100,200,ビューレット100,200,300各mg添加はそれぞれの供試量に応じて培養初期のガス産生速度を抑制した.培養後期では尿素は異常なガス産生速度増を示したが,ビューレットではこの傾向はなかった.3) トウモロコシを基質にし,DUIB 0,50,100,200,300各mgを添加してもガス産生速度の低下を示さず,むしろ添加量に応じた促進がみられた.4) 培養10時間後の総VFAsはトウモロコシ1.5gに対する尿素100mg添加で減少し,ビューレット200mgでやや増,DUIB200mgで明らかな増を示し,ガス産生曲線から予測される点とよく一致していた.5) トウモロコシを基質にした尿素100,200,300各mg添加槽での培養14時間後のpHは6.84,7.19,7.45を示し,その培養後期での異常なガス産生増が,メタン産生によるものではないかと考えられた.6) トウモロコシに対する尿素3%(45mg)添加時のガス産生は異常増や,抑制の傾向がなかった.培養10時間での微生物態蛋白質へのN同化率は3回の実験で30.5,44.3,53.2%を示し,1%尿素添加ではこれが74.278.5 91.3各%であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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