鶏の卵殼形成に関する生理学的研究,特に卵殼物質の分泌開始機構について
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概要
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鶏の子宮において卵殼物質の分泌が始まる機構について調べるため,卵管内への模擬卵黄の挿入あるいは手術等により放卵を遅延させる方法を用いて実験を行った.推定排卵時刻の1時間以内に模擬卵黄を卵管に挿入すると,大多数においてその翌日模擬卵黄を中心としほぼ正常に卵殼の沈着した擬卵が生産された.しかし,クラッチ最終卵の産出後模擬卵黄を卵管に挿入した場合は,卵殼形成が行われる前に放出された.また,排卵の数時間後卵のない状態にした卵管に模擬卵黄を挿入すると,例外なく軟卵(擬卵)状態で放出された.このような早期放出現象を阻止するため挿入後最大卵胞および破裂卵胞を摘出した.この場合,模擬卵黄が1日以上卵管内に滞在したものでは卵殼はほぼ完成されていた.一方正常卵の放卵直前膣部を結紮して放卵を阻止しその翌日と殺した結果,結紮直後に排卵した卵が子宮の卵と接合していた場合は子宮卵の卵殼は対照よりも厚かったが,膣部結紮後排卵した卵が卵管にはいらないようにした実験では子宮卵における卵殼厚は対照卵に比較して差はみられなかった.以上の実験結果から,排卵システムは子宮内に卵を一定(正常)期間滞在させる仕組とリンクしており,卵殼分泌の開始は子宮より上部の卵管刺戟が必要であると推定された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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