乳酸菌飲料の酸沈殿に関する研究 : II. β-ラクトグロブリン,コンポーネント3, オイグロブリンの影響
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概要
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前報1)において,乳酸菌飲料の酸沈殿抑制作用(〓作用)を示したβ-ラクトグロブリン(β-Lg)とプロテオース•ペプトンのコンポーネント3(C-3)逆に酸沈殿誘因作用(〓作用)を示したオイグロブリン(Eug)の作用機構について検討した.その結果,β-Lgが〓作用を発揮するためには加熱処理により,カぜインミセルと相互作用させることが必須であり,かつ-S-S-結合を阻害しても〓作用は生じた.一方,C-3を未加熱および加熱脱脂乳から調製したがどちらも〓作用を示し,加熱による差は認められなかった.またC-3は乳培地に添加してから加熱すると,〓作用が著明に現われたが,乳培地加熱後に添加した場合にもその作用が認められたので,C-3とβ-Lgの〓作用機構は異なることが示唆された.またEugをさらにIgM,IgGおよび高密度リポ蛋白質(HDL)とに分別すると,HDLに強い〓作用が認められた.HDLは水に透析し凍結乾燥すると不溶性となるが,これにC-3 や β-Lgを混合して超音波処理を行うと,C-3共存下の場合に限ってHDLの分散性が高められた.従って乳酸菌飲料の酸沈殿は,Eug中のHDLが主因であり,一方,β-Lgは加熱によりカゼインミセルに付着して,ミセル表面の性質を変えることにより,またC-3は主にHDLの溶解性を高めることにより,酸沈殿を抑制することが推定された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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