オーチヤードグラスの生育にともなう消化率変化の解析を行なうための中性デタージェント•セルラーゼシステムの応用
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概要
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中性デタージェント•セルラーゼのシステムを番草,刈取時期の異なるオーチャードグラス乾草に適用し,生育にともなう栄養価の変化を解析した.まず,乾物は中性デタージェントによって,Cellular Contents (CC)とCell Wall (CW)とに分画され,次にCWは1.0%のセルラーゼ溶液で4時間加水分解されることによって,a,bという2つの領域に区分された.aの消化率の平均値±標準偏差は92.1±4.1%であり,bのこれは46.7±3.7%であった.bはそのリグニン化率が試料間でCWにくらべてかなり均質であり,しかも,乾物中のリグニン含量とbの含量との間にはr=0.948(P<0.01)の相関係数が得られた.一般的には,滴化率の高いa分画が生育にともなって減少し,逆にリグニン化領域と推定される消化率の低いb分画が増加する傾向を示したが,それは特に1番草において顕著であった.次に可消化量について見ると,乾物中のa,bの含量と可消化a,bの含量との間には,それぞれ,r=0.961,0.912の共に有意(P<0.01)の相関係数が認められた.この場合,CWについて同様の処理を施しても,r=0.274(n.s.)の値しか得られなかった.つまり,栄養的に不均一と見なされるCW分画は,より均一なa,bという2つの領域に分けられるという事が解った.可消化乾物(DDM)と可消化CC (DCC)と可消化CW (DCW)の動きについて見ると,7点の乾草でDCCの値の変動はDCWの値の変動より大きく,そして,DDMとDCC, DCWとの間の相関係数を見ると,それぞれ,0.907(P<0.01)と0.174(n.s.)の値を示し,DDMの変化は見かけじよう,DCCの含量に左右されるという現象を示した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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