1回穿刺によるボタンホール作製法
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概要
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われわれは,Twardowskiらの方法と當間らの方法を組み合わせた簡易ボタンホール作製法を報告した.しかし,この方法では,同一スタッフが同一部位に同一方向で通常の穿刺針を数回反復穿刺しボタンホール(BH)を作製するため,穿刺孔の広がりおよびBHが完成するまでの穿刺スタッフ固定の問題があった.今回,これらの問題を改善するために,穿刺針1回穿刺によるBH作製法を考案し,安全性と有用性を検討した.週3回血液透析を継続している外来患者で,血管の可動が大きい症例と内シャント感染の既往症例を除外した9例の中から文書による同意が得られた8名(男性2名,女性6名,年齢64.3±8.5歳,原疾患:慢性糸球体腎炎5名,糖尿病性腎症2名,腎硬化症1名)を対象とした.なお,7名は穿刺痛軽減,1名は止血時間短縮を目的に同意した.初回穿刺は通常のカニューラ穿刺針を用いて行い,次回穿刺以降は,BH専用針を用いて挿入を行った.7症例(87.5%)が通常穿刺針による1回穿刺のみで,次回透析からBH専用針で挿入できたが,1症例が挿入不可能であった.BH作製可能であった症例において,現在までのところBH使用期間は約3か月であるが,感染やドロップアウトはなくBH挿入を継続中である.また,BH作製前穿刺痛とBH作製30日後挿入痛を比較すると,6例(85.7%)で低下し,疼痛をまったく自覚しなくなった症例も認めたが,VAS scoreによる比較では,46.7±22.5(10〜70)から25±13.9(0〜40)に減少したものの,有意差は認めなかった.止血時間短縮目的の1例では,20分かかっていた止血時間が10分へ短縮した.穿刺孔の広がり,コスト面,穿刺スタッフの固定などの指摘されているBH作製法の問題を改善できる通常針1回穿刺によるBH作製法は,多くの症例に安全に施行できる有用な方法であり,BH作製法の普及につながることが期待される.
著者
-
岡田 一義
日本大学医学部内科学系腎臓内分泌内科学分野
-
阿部 雅紀
日本大学医学部内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野
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丸山 高史
日本大学医学部内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野
-
丸山 範晃
日本大学医学部内科学講座腎臓内分泌内科部門
-
岡田 一義
日本大学 内科学講座循環器内科部門
-
岡田 一義
日本大学 医学部 内科学講座 内科二部門
-
大塚 恵子
日本大学医学部附属板橋病院透析室
-
吉田 好徳
日本大学医学部内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野
-
岡田 一義
内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野
-
岡田 一義
日本大学医学部内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野
-
當間 茂樹
とうま内科
-
飯島 真一
赤塚幸クリニック
-
水盛 邦彦
日本大学医学部附属板橋病院透析室
-
小川 千恵
赤塚幸クリニック
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