アンジオテンシンII (Ang II) によるメサンギウム細胞 (MC) のTGF-β発現・活性化調節 : ——糸球体硬化機序におけるAng IIの役割——
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概要
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アンジオテンシンII (Ang II) は,メサンギウム細胞 (MC) のTGE-β発現増加作用を介して,糸球体硬化に関与しているのではと仮説を立て実験を行った。培養MCはAng II刺激により,TGF-βや細胞外基質 (ECM) 成分の産生がmRNAと蛋白の両レベルで増加した。このAng IIのMC刺激作用は,培養上清への抗TGF-β抗体の同時添加により阻害された。ラットにminiosmotic pumpを用いAng IIを1週間持続投与したところ,糸球体のTGF-βとECM成分の発現がコントロールの約2倍に増加した。以上より,Ang IIは慢性腎炎や糖尿病性腎症において異常蓄積することが知られているECM成分のMC合成を増加させた。そして,この刺激作用はMCのTGF-βの発現増加を介していることが示唆された。
- 日本小児腎臓病学会の論文
著者
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香美 祥二
徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部小児医学分野
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香美 祥二
国立療養所東徳島病院小児科
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Wayne A.
ユタ大学医学部腎臓内科
-
Nancy A.
ユタ大学医学部腎臓内科
-
Nancy A.
Dept. of Nephrology, University of Utah
-
Wayne A.
Dept. of Nephrology, University of Utah
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