明かりをつけることを多くの言語で「明かりを開く」と言うのはなぜか
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
多くの言語において,電気器具のつけ消しを表すのに,火をつけたり消したりすることを表す動詞を用いる(フランス語 allumer/éteindre,日本語「つける/ 消す」など)。これは火による照明器具について用いられた動詞が電灯に転用され,それが電気器具一般に拡張されたものと考えられる。この過程で,電灯は電気器具のプロトタイプの機能を果たしたと考えることができる。 同じ行為を表すのに開閉を表す動詞を用いる言語も多く存在する(フランス語 ouvrir/fermer,中国語「开/ 关」など)。これは,以下の機序に大きくよっている。すなわち電気器具のつけ消しをメトニミーにより電気を流したり止めたりすることで表し,それをメタファーにより電気の通り道の開閉に見立てたのである。 それ以外にも,別の意味の動詞,句動詞,接頭辞付きの動詞を用いる方法がある。エスペラントは電気器具をつけることを表すために新しい単一の動詞を用意している点で特異である。電気器具をつけるという概念はある程度抽象的であり,これを表現するには自然言語は何らかの方略に訴えるのである。
著者
関連論文
- 懸垂および依存を表す動詞が取る前置詞について
- 道具として解釈される場所前置詞句
- 使役移動動詞構文における起点の標示について
- 疑問詞疑問文における倒置について
- フランス語の関係節における文体的倒置について
- フランス語の疑問詞疑問文における文体的倒置について
- 目的語名詞句内からの前置詞句の昇格について
- フランス語における目的語名詞句からの前置詞句の位置 : その意味・語用論的制約
- 飲み物の容器の表現について : フランス語の場合と言語間に見られる差異
- 試験を受けることを表すのに多くの言語で「与える」という動詞を用いるのはなぜか
- フランス語の前置詞dansとアクティブ・ゾーン
- 型の倒置構文
- コピュラ文の二つの倒置
- 日本語の遠近を表す形容詞「近い・遠い」と格助詞「に・から」
- 潜在的参与項に関わる前置詞dans(研究発表要旨)
- 飲食動詞と場所補語
- 文脈・状況を受けるc'est NP qui VP
- 明かりをつけることを多くの言語で「明かりを開く」と言うのはなぜか
- 日本語の遠近を表す形容詞「近い・遠い」と格助詞「に・から」
- 明かりをつけることを多くの言語で「明かりを開く」と言うのはなぜか