異なる光環境下に生育するサワラ後継樹の樹冠形
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
サワラ後継樹の樹冠形を閉鎖林冠下と開放林冠下で比較して,樹冠形と更新様式との関連について検討した。開放林冠下に生育するサワラ後継樹の生枝下高は閉鎖林冠下より低く,樹冠も閉鎖林冠下と同程度の大きさで水平方向に広がっており,地面に接地するための充分な長さの下枝を持っていた。このようにサワラ後継樹は伏条枝による萌芽更新に適した形に樹形をデザインしているにも関わらず,開放林冠下では伏条更新に由来する後継樹は後継樹全体の5.5%と少なかった。その原因として,林齢が若く疎な開放林冠下に生育するサワラ後継樹は,倒木や上層木の落葉落枝等のリターによって枝が地表面に押さえつけられて伏条する機会が高齢で鬱閉した閉鎖林冠下と比べて相対的に少ないこと。光環境の明るい開放林冠下に生育するサワラ後継樹は,枝の長さを直径で除した形状比の小さい丈夫な曲がりにくい枝を持つことから,下枝の伏条は潜在的に起こりにくくなっている可能性が示唆された。サワラ後継樹の伏条更新は林分の発達段階や構造と密接に関連していると考えられた。
- 2014-03-26
著者
関連論文
- 信州大学西駒演習林におけるブナ植栽木の15年間の成長経過
- 南アルプス戸台川渓畔域におけるミズナラの分布様式
- アカマツ林床に生育するツツジ科低木4種のシュートデザイン
- スギ・ヒノキ当年生実生苗根系のトポロジー解析 : 特にパイプモデルとの関係から
- スギ品種の一次枝,一次根の分岐特性
- 1-23 東シベリアカラマツ林土壌における夏期温室効果ガスフラックスの年次変動(1.物質循環・動態,2009年度京都大会)
- 東シベリアにおけるカラマツ林のサイズ構造と地上部現存量の推移
- 東シベリアのカラマツ「Larix gmelinii」と「L. cajanderi」について
- スギ幼齢木の根系への乾物分配 : 相対成長関係を用いた解析
- タブノキ1年生実生の萌芽形成過程における根の伸長成長の変化
- 「樹形のパイプモデル」は「樹形」をどこまで説明できるだろうか?--スギとヒノキの場合 (特集 樹木の形作りと生き方--「枝葉末節」から本質へ)
- スギ林分の葉面積推定に関する基礎的研究 : シュート長あたりの針葉面積に及ぼす樹冠内光環境の影響
- 冷温帯上部に植栽されたカラマツ人工林林床における落葉広葉樹12種の展葉パターンの違い
- 冷温帯上部に植栽されたカラマツ人工林の広葉樹レフュージアとしての機能の検討
- 強度間伐に対する壮齢ヒノキ人工林の林分構造の中期的応答
- 壮齢ヒノキ人工林における強度間伐後14年間の林床植物の種組成の変化
- 南アルプス戸台川渓畔域におけるミズナラの分布様式
- 冷温帯上部に植栽されたカラマツ人工林の広葉樹レフュージアとしての機能の検討
- 手良沢山演習林ヒノキ人工林に生育する資源植物
- 信州大学西駒演習林におけるブナ植栽木の15年間の成長経過
- 東シベリアにおけるカラマツ林のサイズ構造と地上部現存量の推移(会員研究発表論文)
- 異なる光環境下に生育するサワラ後継樹の樹冠形