信州大学西駒演習林におけるブナ植栽木の15年間の成長経過
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概要
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信州大学西駒演習林のカラマツ人工林を自然植生の落葉広葉樹林に戻す試みとして、1995年にカラマツ伐採跡地におけるササ刈り及びブナ苗の植栽が行われた。この試みに対する評価として約5年間隔の定期調査が行われており、本研究はその3回目にあたる。今回は、まず植栽から15年目のブナ植栽木の成長傾向を把握するために、毎木調査を行った。ブナ植栽木の樹高は樹高100cm未満に集中し、年間平均成長量が-2.2(±4.1)(cm/year)となった。根元径は年間平均成長量が0.4(±0.5)(mm/year)となり、以前の調査と比較して成長が停滞した。この成長不良の原因を明らかにするために、カモシカの食害及び枯れ下がりの有無の記載を行った。カモシカの食害率は樹高階60?80cmで最も高くなったが、頂端部の食害(頂部食害)は樹高100cm以上では0%となった。一方、枯れ下がりは樹高100cm以上の個体で多く見られ、全て1年枝のみで起こった。枯れ下がりの原因としては、積雪量の少ない太平洋側の調査地に、積雪量の多い日本海側の長野県飯山市産の苗木を用いたことが考えられた。以上より、ブナ植栽木の成長阻害要因として、カモシカの食害と枯れ下がりを含んだ日本海側と太平洋側の産地間における生理特性の違いが考えられた。
- 2010-03-00
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