ミャンマーにおける輸出政策転換下の米市場

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本論文は、食糧割当と貿易自由化のはざまで揺れ動くミャンマーの米政策という観点から、同国における国内安定を目的とした米の自給と輸出の間にあるジレンマ構造を明らかにした。1962年以降の食糧安全保障政策確立により、ミャンマ一政府は食糧の配給制度を伴って米の販売を独占した。さらに、市場経済を加速するために、1987年と2003年の2度にわたり米販売の自由化が実施された。2003年における自由化後、ミャンマーの米貿易政策はたびたび変更され、輸出許可制度も不安定なままであった。安定しない米輸出政策は、貿易業者の投資意欲を喪失させ、米輸出は年ごとに減少していった。他方、輪出許可申請に対する制限もミャンマーの米輪出市場の競争力を低下させた。ミャンマーは、主として中・低品質のインディカ米を、数少ない低所得国にしか輪出できないという問題を抱えている。さらに、ミャンマーの米輸出が直面している課題は、不十分な港湾整備のため、輸出に関わる総費用の57%を占めるほど輸送費が高いことである。また、ミャンマーの米の輸出価格は、タイ米やベトナム米の58～78%にすぎず、著しく低い。米の輸出における国家独占政策の結果の1つは、国内市場と国際市場を分離したことであり、貿易相手国を少なくさせ、米の内外価格差を著しく大きくしている。ミャンマーの米輸出の主要な問題点は公表されるべきであり、輸出向け米の品質改善のための努力が注がれるべきである。改善には、世界のコメ市場において一貫している隣国の経験を徹底的に学ぶことが要求される。食料の安全保障と外貨獲得というジレンマ構造解消のため、シミュレーションを深めることが必要である。
食農資源経済学会の論文
2009-09-00

ミャンマーにおける輸出政策転換下の米市場

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