木材と繊維材料とを使用した住宅耐震補強技術の開発
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概要
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既存の在来軸組構法の耐震性向上を図るため、木材と繊維材料とを使用した柱-土台接合部の補強技術を開発した。本補強技術では柱や基礎への加工を最小限に抑えるため接着剤を使用した。補強材としてポリビニルアルコール繊維を使用した繊維強化プラスチック(FRP)を作製し、これの一端をあらかじめ1液型ポリウレタン接着剤で柱に接着しておいた台形状のスギ集成材に2液型エポキシ樹脂接着剤を使用して接着し、もう一方の端部も同接着剤を使用して基礎に接着した試験体を作製して引張試験を行った。また、FRPとかど金物とを併用した効果についても調べた。その結果、約60kN強の耐力のFRPを使用した場合にこれの約70〜80%の荷重で破壊が発生し、Zマーク表示の引き寄せ金物であるS-HD25に近似した耐力を備えた接合部が得られた。FRPとかど金物とを併用した場合、柱の土台からの引き抜け量は減少したものの最大荷重は増加しなかった。試験体の基礎としてコンクリートブロックもしくはベイマツ集成材を使用したが、コンクリートブロック基礎では40kN近い荷重で強度不足によりコンクリートブロックが破壊した。しかし、接着層は損傷を受けていなかったことから、FRPとコンクリートとの接着は実用上問題ない接着強度を備えているものと推測された。また、FRPとコンクリートとの接着は、12ヶ月間の屋外ばく露後ではく離が発生していないことから高い耐久性を備えているものと思われた。
- 奈良県森林技術センターの論文
- 2010-04-00
著者
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