シリーズ「近年の土砂災害」
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概要
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「近年の土砂災害」2007年鳥取県琴浦町で発生した土砂災害。現在の日本の人工林面積を齢級別にみると9齢級が最も多い。短伐期施業ならば主伐可能な林齢に達しているにも関わらず、材価の低迷等を理由に伐期の延長を余儀なくされている。そのため、伐採・再造林による森林の幼齢林化が避けられており、防災の観点からは表層崩壊発生の危険性が少ない良好な森林の状態が維持されているといえる。このように表層崩壊の発生を減少させる森林資源の充実といった素因面での好材料があるものの、表層崩壊の発生がなくなったわけではない。それには誘因の変化があげられる。一つは、豪雨の強力化である。ゲリラ豪雨または異常豪雨などと呼ばれる近年の豪雨は、従来の観測記録を各地で大幅に更新している。二つ目は、近年頻発する内陸型の大規模地震の発生があげられる。これら二つの誘因は単独あるいは複合的に、土砂災害の多発化に影響を与えていることは論を俟たない。さらに、これらの未曾有の規模の誘因に加えて植生・地質・地形条件などの素因も複雑に関与するため、各地で生じる土砂災害はそれぞれが異なる特徴を有していると言っても過言ではない。本稿では、2007年鳥取県琴浦町で生じた表層崩壊について、ヘリコプターによる上空からの調査と現地調査を行い、いくつかの有益な知見を得たので報告する。
- 2009-12-00
著者
-
藤田 亮
鳥取県農林水産部農林総合研究所林業試験場
-
三森 利昭
森林総合研究所
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三森 利昭
森林総研
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三森 利昭
林野庁森林総合研究所森林環境部
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三森 利昭
独立行政法人森林総合研究所
-
河合 隆行
鳥取大学 産学・地域連携機構
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河合 隆行
新潟大学災害復興科学研究所
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