低リジン飼料給与が筋肉内脂肪に及ぼす影響
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概要
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特徴ある静岡型銘柄豚を生産することを目的として給与飼料を検討した。供試豚としてSPF三元交雑豚(WL・D)25頭とSPF交雑豚(WD)18頭を用いた。WLDにリジン含量を低く設定した低リジン飼料(試験1)を、WDにパン屑を混合したパン屑混合飼料(試験2)を肥育後期に給与した。給与方法は不断給餌とし、体重が110kgに到達した時点でと畜して肉質を調査した。試験1において、1日増体量は、低リジン区(908g/day)が対照区(1,013g/day)に比べて有意に低くなり(P<0.05)、出荷日齢は、低リジン区が対照区よりも5日遅れた。胸最長筋の筋肉内脂肪含量は、低リジン区が4.21%と対照区の2.68%に対して有意に高い値を示した(P<0.01)。筋肉内脂肪の脂肪酸組成では、ステアリン酸(C18:0)は低リジン区が対照区よりも有意に低く(P<0.01)、オレイン酸(C18:1)は低リジン区が対照区よりも有意に高かった(P<0.05)。一方、試験2において、1日増体量は、パン屑50%区(997g/day)がパン屑20%区(1,179g/day)よりも有意に低くなった(P<0.05)。出荷日齢は、パン屑50%区とパン屑70%区がパン屑20%区よりも9日遅れたが、ともに有意差はみられなかった。胸最長筋の筋肉内脂肪含量は、パン屑70%区が7.31%とパン屑20%区の3.97%に対して有意に高い値を示した(P<0.05)。また、パン屑50%区は5.19%であった。しかし、筋肉内脂肪の脂肪酸組成では、いずれの脂肪酸でも有意差はみとめられなかった。肥育豚1頭あたりの飼料費の概算値では、肉豚肥育用配合飼料のみを給与した場合よりもパン屑の混合割合が増すにつれて低く算出された。以上の結果から、低リジン飼料あるいはパン屑混合飼料を給与することで静岡型銘柄豚の筋肉内脂肪含量を増加させることができ、その筋肉内脂肪含量は飼料中リジン含量によって変化することが明らかとなった。また、パン屑は飼料費の削減に有効であることが示唆された。
- 静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センターの論文
- 2009-02-00
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