エストロジェン投与が1個のブタ胚の生存性に及ぼす影響
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概要
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本研究では、発情を誘起した未成熟雌ブタに移植した1個の胚の生存性に及ぼす、外因性エストロジェンの影響について検討した。実験1:未成熟雌ブタに対しeCG 1000IUおよびhCG 750IUを72時間間隔で投与、発情を誘起し、hCG投与6日目に片側子宮角の先端に、発情同期化した雌ブタから採取した胚(胚盤胞)1個を移植した。その後、安息香酸エストラジオール(EB)5mgをhCG投与後11日(EB1-5mg)、11、13および15日(EB3-5mg)、11、12、13、14および15日(EB5-5mg) に投与、プロピオン酸エストラジオール(EDP) 20mgを11日(EDP1-20mg)、11および14日(EDP2-20mg) に投与した。妊娠52-59日齢で剖検したところ、エストラジオール無処理では妊娠例は得られなかったが、処理区ではいずれも妊娠例が得られ、EDP2-20mgで最も高い妊娠率(77.8%:7/9頭)であった。実験2:未成熟雌ブタに対して1胚移植し、EDP2-20mg処理を行い、妊娠したものは分娩させた。胚の生存率は、妊娠30日目に75%(9/12頭)であったが、分娩(33.3%:4/9頭)、離乳(8.3%:1/9顕)時までに減少した。実験3:5mgEDPをhCG投与の11日(EDP1-5mg)、11および14日(EDP2-5mg)に投与し、hCG投与52-57日後に部検、偽妊娠の有無を維認した。 剖検特の偽妊娠率はEDP1-5mg(0%: O/l1頭) に対し、EDP2-5mg(63.6%: 711頭)で高かった。実験4:未成熟雌ブタ12頭に対し1胚移植し、EDP2-5mg 処理を行い、妊娠を確認したブタについては分娩させた。妊娠30日目の妊娠率は66.7% (8/12 頭)、その後胚の生存率は分娩まで変わらなかった。1頭は分娩時に難産で死亡、1頭は両前肢蹄に奇形があり、分娩6日後に死亡した。生存は妊娠30日齢と離乳時(50%:6/12頭)で統計的に差はなく、生時体重および離乳時体重はー般ブタと変わらなかった。以上の結果より、EDP2-5mg処理は移植された1個の胚を産子へ発生させるために有効であることが明らかになった。しかし、1頭の産子で蹄の奇形が確認されたことから、エストロジェン投与との因果関係を明らかにするとともに、投与時期、濃度等についてさらに検討することが必要と考えられた。
- 2011-01-00
著者
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