ミズアオイ属水生雑草の形態における変異
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概要
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ミズアオイ属水生雑草の野外集団およびさく葉標本について外部形態に関する32形質を調査し、個体内、集団内個体間および種内集団間の各レベルでその変異を検討した。1)個体内における形態の表現型可塑性の大きさは形質によって異なった。同じ形質であってもその可塑性は分類群によって異なっていた。また可塑性をもつ形質のほとんどは量的形質であり、可塑性の程度は遺伝的に制御され、栄養器官であるか生殖器官であるかには関係がなかった。さらに個体内に形態的奇形現象が認められた。例えば、コナギの花は総状花序であり、正常な花序には分枝がないが、分枝をもつ花序を有する個体が見いだされた。ミズアオイはミズアオイ属の中で唯一花序に分枝をもつ種であり、この奇形現象はコナギがミズアオイと極めて近縁であることを示唆している。2)ミズアオイの形態形質の集団内個体間変異は生育環境に強く影響されていることが認められた。特に花序あたりの花数、葉幅、葉の長さと花序の有花部分の長さは水深、他種との競合、土壌の肥沃度、遮光の有無などによって大きく影響を受けた。3)ミズアオイの種内集団間変異は集団内に見られる形質の可塑性よりも明らかに大きかった。コナギの集団間変異は局所的な生育環境に対応する変異とは考えられず、広い地域間に見られる温度や日長の差異など緯度の違いに対応した南北に傾度をもつ極めて大きな変異を示した。
- 日本雑草防除研究会の論文
- 2010-12-00
日本雑草防除研究会 | 論文
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