水田におけるクサネムの個体数の推移と種子休眠性の変化
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概要
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水田雑草クサネム(Aeschynomene indica L.)の発生生態に関する知見を得る目的で、水田における個体数の推移の実態と、採取年から翌年にかけて水田土壌に埋土または放置した種子の休眠性の変化を調査した。クサネムの発生は水稲移植後の早い時期から多く観察され、個体数は中干し開始期まで増加を続けた。水田での発生消長から、移植直後の水田中に発芽可能な種子が多く存在していることが示唆された。種子の休眠性については以下のことが明らかになった。(1)採取後約3ヶ月間室内暗所に置いた種子は深い休眠状態にあったが、無加温ガラス室内で風乾すると、翌年の3月には高い発芽率を示した。(2)水田土壌中10cmの深さに埋土した種子は翌年5月の時点でもほとんど発芽しなかったが、掘り出した後11日間ガラス室内で風乾すると、発芽率は100%近くに達した。(3)ワグネルポット内の土壌表面に翌年4月まで放置した種子の発芽率は、ポットを自然降水に曝す湿潤条件では10%以下であったが、ポットを屋根の下に置く乾燥条件では90%以上となった。(4)ポットの土壌中10cmの深さに埋土した種子の発芽率は、ポットを屋根の下に置く条件でも10%以下であった。これらの結果から、クサネム種子は土壌中に埋土された場合休眠性を維持するが、土壌表面では乾燥条件下で休眠覚醒が進むこと、埋土された種子も風乾条件に曝されると急速に休眠覚醒の進行することが示された。
- 日本雑草防除研究会の論文
- 2008-12-00
日本雑草防除研究会 | 論文
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