水ストレスに対するイヌビ工(広義)の生態的反応
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概要
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イヌビエ(Echinochloa crus-galli)における生態的分化の実態や住み分けの仕組みを考察するために、異なる水ストレスを与えてヒメイヌビエ(var. praticola)、ヒメタイヌビエ(var. formosensis)およびイヌビエ(狭義、var. crus-galli)の生態的な反応を解析した。畑状態(対照区)では、ヒメイヌビエは低い草丈と多い分げつとなり、早生で高い繁殖分配率を示し、小さな種子を多産した。ヒメタイヌビエは、高い草丈と少ない分げつとなり、晩生で低い繁殖分配率を示し、大きな種子を少産した。イヌビエ(狭義)は、ヒメイヌビエとヒメタイヌビエの特性にまたがる広い変異を示した。湛水条件では、3変種に共通して良好な生長や繁殖、根への乾物分配率の増大がみられ、広義のイヌビエは基本的に湿性地に適応した生態的特性をもつと考えられた。乾燥条件では、ヒメイヌビエは幼植物の草丈を増加させ、根への乾物分配率を減少させずに生長を維持し、種子サイズを小さくして、種子生産数の減少を小さくした。一方、ヒメタイヌビエは、乾燥条件において生長や繁殖を顕著に抑制された。イヌビエ3変種の水ストレスに対する反応の違いから、水分の多い立地で良好に生育するイヌビエの特性を基本として、ヒメイヌビエは乾燥ストレスに対する耐性を獲得して路傍や畑地などの不安定な環境に適応しており、ヒメタイヌビエは湿性地のなかでもとくに除草という人為撹乱のある水田においてイネと共存するように適応したと考えられた。
- 日本雑草防除研究会の論文
- 2009-12-00
日本雑草防除研究会 | 論文
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