小学校における自閉症児への教育的支援について ~原初的知覚を枠組みとした行動の理解~
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概要
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本研究は小学校における生活場面で自閉症児が示すさまざまな特異な行動や学習の形態を相貌的知覚や「生き生き感」などの原初的知覚様態といった枠組みで記述することを目的とした。筆者は対象児が在籍する学校の支援員として、本児へのさまざまな支援活動を通して上記の目的を検討した。その結果、自閉症児の対象認識においては、原初的知覚が色濃く作用した特有な表象が形成され、これらの表象世界が自閉症児の行動や学習の形態を特徴づけていることが明らかになった。支援活動は、ひとえに支援者による対象児の行動の間主観的理解に依存する。筆者が対象児の内的世界を捉えられるようになり、それに沿った会話や声かけができるようになると、支援活動が充実した展開を見せた。支援者が子どもの感情・情緒や意図などの内的状態を覚知できるようになり、それを対象児と共有することができるようになることが、支援活動を展開する上できわめて重要である。こうした自閉症児の理解にとって、原初的知覚による理解の枠組みが1つの有効な支援の切り口であることが示唆された。
著者
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