豚糞尿を原料としたメタン発酵消化液の液肥としての安全性に関する微生物的評価
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概要
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Recently, the domestic animal excrement causes serious water pollution and the problem of bad smell because of the inappropriate managements. The methane fermentation that is one of the methods of processing the animal excrement is expected as technology of a biomass recycling system, and the fennentation liquid is expected as liquid fertilizer. It is important to secure the safety for agricultural products when using it as liquid fertilizer. Therefore, in this study, we performed the evaluation about the microbiological safety of the ferm entation liquid. The swine excrement slurry and the fennentation liquid processed by the biogas plant at University of Miyazaki were used as the samples. We researched about coliform bacteria, detection by PCR with specific primer sets for pathogenic bacteria, Biolog indices based on utilization of carbon sources and detection of protozoa by the nested-PCR specific for Cryptosporidium. The coliform bacteria was not observed in fermentation liquid but observed in the excrement slurry by the coliform selective medium. In the PCR for food pathogenic bacteria, though E. coli was detected in the excrement slurry, pathogenic bacteria were not detected in any samples. Furthermore, the existence of pathogenic bacteria was not detected in the fenncntation liquid by Biolog indices. In addition, Ciyptosporidium was not confirmed in the fermentation liquid. These results indicate that fermentation liquid will be safe in terms of pathogenic bacteria for use as liquid fertilizer.近年, 家畜排泄物は, その不適切な処理のため深刻な水質汚染や悪臭問題の原因となっている.家畜糞尿の処理方法の一つであるメタン発酵は資源循環型の技術として注目されており, その際に産出される消化液は液肥としての利用が期待されている. 液肥として利用する際に重要なこととして農作物への安全性を確保する必要がある. そこで, 本研究では液肥利用の基礎データとして, 消化液中の微生物的安全性に関する評価を行った.試料には, 原料である家畜糞尿スラリーと, 宮崎大学構内に設置されてあるバイオガス・プラントから採取したメタン発酵消化液を用いた. 実験内容として, 大腸菌群選択培地を用いた大腸菌群の検出, 食中毒性病原菌検出用プライマーを用いたPCRによる病原微生物の検出, Biologプレートの発色を利用した病原微生物の検定, そしてNested-PCRを用いたクリプトスポリジウムの検出を行った. 大腸菌群選択培地ではスラリーでコロニーが観察されたのに対し, 消化液では観察されなかった. 病原菌検出用プライマーを用いたPCRでも, スラリーにおいて大腸菌が検出されたが, それ以外の病原微生物は検出限界以下であった. 消化液では, すべての病原微生物が検出限界以下という結果になった. また, Biologプレートを用いた検定においても, 消化液に病原微生物は検出されず, クリプトスポリジウムに関しても消化液では検出されなかったことから病原微生物に関して, 液肥としての安全性に問題は無いことが示唆された.
- 2010-02-28
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