砕石スラッジを利用した重金属汚染土壌処理の基礎的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
土壌は、水や大気とともに環境の重要な構成要素であり、人間をはじめとする生物の生存基盤や物質循環の要として、また、水質の浄化や食料の生産などにおいて重要な役割を担っている。しかし、土壌は、水や大気のように流動性や拡散性を持たないため、有害物質を滞留する可能性がある。鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、クロム(Cr)など自然界で分解することのない重金属類によって土壌が一旦汚染されると、その影響が長期にわたり持続する蓄積性の汚染となるため、土壌中から効率よく汚染物質を除去・分離する処理方法の開発が期待されている。環境省の行った土壌汚染調査によると、重金属汚染土壌の対策としては掘削除去がほとんどであり、掘削除去後の土壌処理は敷地外に持ち出して処分されている現状にあるl)。原位置で行われている物理・化学的な汚染物質除去による土壌浄化方法は、浄化技術として確立されてはいるが、多額の費用や設備を必要とする大がかりな方法である2)。一方で、固化・不溶化による土壌処理方法2・3)は、汚染物質を直接除去するわけではないため根本的な土壌浄化とは言い難いが、土壌中に種々の固形化剤や不溶化剤を添加し、他の生活圏への汚染物質の移動を抑制することから、経済的な処理方法として広く実施されている。固化・不溶化による重金属汚染土壌の処理には、重金属の吸着と分離の2つの工程が必要となる。そこで本研究では、重金属吸着物として『砕石スラッジ』に着目した。砕石スラッジは、砕石および砕砂を製造する際に発生する細粒分を水洗した洗浄水から脱水分離したものであり、その性状は汚染されていない原石山の構成物質(二酸化ケイ素(SiO2)や酸化アルミニウム(Al2O3)が主成分)そのものである。粒度が非常に細かいため表面積が大きく、含水比が高いことから、汚染土壌との混合攪拌により重金属成分の物理および化学的吸着が見込まれる。一方で砕石スラッジは、採掘跡地の埋め戻しや植栽用覆土、さらに路盤材としてその一部が利用されている程度であり、有効な資源となり得る可能性を秘めているにもかかわらず産業廃棄物となっている現状にある4)。そのため、砕石スラッジの再資源化や有効利用、資源循環型社会への貢献という観点からも、砕石スラッジの利用は極めて有効であると考えられる。本研究では、砕石スラッジを重金属吸着材に利用した原位置での汚染土壌処理の可能性について検討した。
著者
関連論文
- 3A1556 ミクロ繊維シート捕集材に捕集された大気中粒子の粒径特性(5物質-2粒子状物質,一般研究発表)
- P-62 ミクロ繊維シート捕集材を用いた道路沿道における粒子状物質およびB(a)Pの相対濃度分布と補間精度(ポスター発表(アカデミックプロムナード))
- 露天採掘場の景観評価における視距離による変化刺激の適用性
- 砕石スラッジを利用した重金属汚染土壌処理の基礎的検討
- 露天採掘跡残壁の自然回帰型修復緑化における緑化シミュレーションを用いた自然回帰度評価
- 露天採掘跡残壁の自然回帰型修復緑化法の開発と評価システムの構築
- 地形改変を伴う開発地域周辺の風向・風速変化予測
- 今後の骨材業界の動向
- 露天採掘跡地の廃棄物最終処分場への転用可能性評価システム
- P-42 大気汚染物質の未測定地域におけるGISを用いた濃度補間精度の検証(ポスター発表)
- 少子高齢化・人口減少社会の到来と砕石業の今後の方向について
- 森林表土を利用した露天採掘跡残壁の植生基盤造成に関する基礎的研究
- 色差因子を用いた露天採掘場の修復緑化景観に対する評価予測
- 露天採掘場の景観評価における動画と静止画の変化刺激としての適用性
- 樹木の生長を想定したVRSによる残壁の自然回帰シミュレーション
- 残壁斜面部の樹木生長を想定した修復緑化に対する自然回帰度評価
- 露天採掘跡地の廃棄物最終処分場への転用に関する環境影響評価手法の検討
- 露天採掘場の景観評価方法の信頼性の検討
- Battelle 法を用いた露天採掘場跡地の廃棄物最終処分場への転用可能性評価
- 露天採掘場の景観評価における視距離による変化刺激の適用性の検討
- 動画シミュレーションを用いた露天採掘場の景観評価
- 固定発生源からの排ガス中に含まれる重金属成分の拡散予測に関する統計的考察
- 固定発生源からの排ガス中に含まれるベンゾ(a)ピレンおよび重金属類の測定と拡散予測
- GISを利用した石炭資源ポテンシャリティー評価手法の検討
- 露天採掘場の廃棄物最終処分場への転用可能性評価--東北地方の砕石場を事例対象として
- 環境保全を考慮した採石資源ポテンシャリティー評価システムの構築
- ベンゾ(a)ピレンの光分解挙動に関する実験的検討とモデルシミュレーション
- 大学における環境人材育成の方法 : 「いわて環境人材育成モデル」の形成
- 放射線量が高い地域からの骨材の出荷基準について
- P-09 大気環境情報発信システムの構築に関する検討(ポスター発表)
- 大学における環境人材育成の方法:―「いわて環境人材育成モデル」の形成―