環境保全を考慮した採石資源ポテンシャリティー評価システムの構築
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概要
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21世紀の砕石産業は、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄という構造から脱却して、良好な環境を維持しながら持続可能な開発(SLIStainableDevelopment)を実現することが求められる。これまでに開発された採石場は、骨材市場からの距離と賦存状態(採掘の難易と原石の質)により、立地選択されてきた1)。しかし、近年の環境問題などに対応していくためには、採掘の難易と原石の質による賦存状態の把握だけでは不十分である。そのため、地域社会への影響、開発に関する規制の有無、自然環境への負荷なども資源としての賦存状態として扱い、それらを含めて総合的に判断する必要がある。そこで、それらを含めた砕石資源の『総合的な賦存状熟』を、本研究では『ポテンシャリティー』と定義する。将来的な砕石産業の存続を考えた場合、地域社会や自然環境への万全な環境保全対策は、必要不可欠である。そのためには原石の性状ばかりではなく、開発に対する規制の有無、地域社会への影響、自然環境への負荷、さらには事業の経済性等を含めた多様な評価基準を取り上げて、砕石資源開発に関する総合的なポテンシャリティーを評価する必要がある。すなわち、総合的なポテンシャリティー評価を行うことによって、合理的な事業計画の策定や生産活動が効率化され、砕石事業の存続と将来的な安定供給に繋がると考えられる。このような問題を体系的に取り扱い、課題解決に向けた検討を可能にするシステムとして、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)が有効であると考えられる。砕石資源開発に関わる多くの評価基準は、地質や地形といった空間情報として扱うことができ、GISではこれらを一元的に管理・分析することが可能である2)。さらに近年では、情報技術の急速な進展に伴い、空間データがインターネットなどをベースに広く流通しており、GISを利用し易い環境が整備されている。また近年、住民参加型の開発計画が強く求められており、評価者の意思を開発計画に反映させるとともに、計画についての意思決定を支援することのできる評価システムの構築が求められている。開発における意思決定のような主観的な判断や曖昧さを含む評価を定量化することができる階層化意思決定法(AHP:Analytic Hierarchy Processが、意思決定を支援する上で有効であると思われる。以上の点を踏まえて本研究では、対象課題を体系的に扱うツールとしてGISを、また評価者の意思決定を支援する手法としてAHPを採用して、砕石資源開発における意思決定を効率的に支援するシステムとして、砕石資源ポテンシャリティー評価システムの構築を行った。
- 骨材資源工学会の論文
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