インターフェロンα療法により下大静脈内腫瘍塞栓の著明な縮小をみた進行性腎細胞癌の1例

概要

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66歳男。患者は肉眼的血尿, 咳嗽, 全身倦怠感を主訴とした。画像所見では左腎下極に突出するhypervascular tumorが認められ, 腎盂まで進展していた。また, 腫瘍塞栓が左腎静脈から下大静脈に進展し, 横隔膜からやや頭側にまで進展していた。一方, 左腎動脈造影では左腎全体に著明な腫瘍脈管増生像を認めたが, 左腎静脈本幹は造影されなかった。以上, これらの所見を含め, 他臓器への明らかな転移所見はなかったことから本症例は左腎細胞癌(stage III)と診断され, 全身状態の悪化より根治的手術は困難と考え, 天然型インターフェロンα(IFNα)を1日300万単位として週4回筋肉へ投与された。その結果, 投与22ヵ月後, 腫瘍の縮小は認められなかったものの, 左腎静脈から下大静脈にかけての腫瘍塞栓は消失した。更に下大静脈内腫瘍塞栓も縮小して器質化がみられた。以後, 投与開始25ヵ月経過で根治的左腎摘除術を施行したが, 術後5ヵ月で肝転移, 両肺転移, 脳転移を認め, 初診から3年6ヵ月後に患者は死亡となった。
泌尿器科紀要刊行会の論文