馬尾松林根系発達過程の量的解析
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概要
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馬尾松林の根系構造を明らかにするために,林齢が異なる4林分の地下部の調査を行った。10,20,30,38年生の根総量はそれぞれ12,29,39,42t/haで,林齢が高いほど大きかった。地下部の現存量は地上部現存量の増加に対応して増加した。T/R比は3.85~4.25で,林齢が高いほど大きくなる傾向がみられた。10,20,30,38年生の細根量はそれぞれ1.30,0.88,0.69,0.61t/haで,林齢が高いほど小さかった。細根への現存量配分も林齢が高いほど小さかった。いずれの林齢においても根量の割合の75%上が深さ0~40cmの土壌層に存在し,細根は大径根,中径根に比べてより浅い土壌層に存在することが明らかになった。いずれの直径サイズでも根現存量密度は深さにともなって指数関数的に減少していた。また,いずれの林齢においても根系はパイプモデルに当てはまる構造を持っていることが示唆され,根乾重量はD21.3またはD20に比例していることがわかった。In four planted Pinus massoniana stands with various stand ages in Fujian Province, China, aboveground biomass, root biomass and root system structure were investigated. The root biomass of 10, 20, 30 and 38 year-old stands was estimated at 12, 29, 39 and 42t/ha, respectively. The ratio of aboveground biomass to root biomass ranged from 3.85 in the 10 year-old stand to 4.25 in the 38 year-old stand. The biomass of fine root (diameter<2mm) was 1.33, 0.88, 0.69 and 0.61t/ha in the 10, 20, 30 and 38 year-old stands, respectively, and the proportion of fine root was less in the older stand. More than three quarters of total root biomass were distributed in the soil 0-40 cm deep and the finer roots developed in surface soil. The root in every diameter class exponentially decreased in spatial density with soil depth. The total root biomass, regardless of stand age, was proportional to the square of the stem diameter at breast height or at ground, meaning that the pipe model theory of tree form is applicable to the root structure of P. massoniana tree.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学大学院農学生命科学研究科,森林総合研究所,Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo,Forestry and Forest Products Research Instituteの論文
著者
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千葉 幸弘
独立行政法人森林総合研究所
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益守 眞也
東大・農・造林
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益守 眞也
東京大学大学院農学生命科学研究科
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千葉 幸弘
森林総合研究所
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八木 久義
三重大学生物資源学部
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陳 学群
東大院農
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千葉 幸弘
森林総合研究所関西支所
-
桜井 尚武
森林総合研
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