圧密土壌に対する根の成長反応の樹種特性
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概要
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アカマツ,クロマツ,モミ,ヒノキ,エノキの幼樹について,硬さの異なる土壌に対する根系の成長反応を調べ,その樹種特性が根系の形態形成に及ぼす影響を考察した.容積比重の異なる圧密土壌を塩化ビニル管内に作製することによって,硬さの異なる土壌の処理区を設けた.圧密土壌がない場合,全樹種が多くの分枝根を下方へ成長させたが,アカマツとヒノキは側方へも分枝根を成長させた.下方に圧密土壌がある場合でもクロマツとモミは主根および分枝根の多くを圧密土壌中に伸長させた.深根性樹種と言われるこれらの樹種は,不均一な地中にある硬い土塊や土層に対して高い伸長能を示して下方へ根を成長させ,結果として深根性の根系形態を形成すると考えられる.一方,ヒノキとエノキは主根および分枝根の圧密土壌に対する伸長能が低く,特にエノキは主根が不明瞭になって高次の分枝根を多数発生させた.また,下方に圧密土壌があると側方への分枝根の成長量が増える傾向がみられた.浅根性樹種と言われるこの2樹種は,地中に硬い土塊や土層がある場合には,根が下方へ成長できずに側方へと成長して浅根性の根系形態を形成すると考えられる.
- 2005-09-30
著者
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