学びの共同性
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概要
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現在,子どもたちの学びの世界は,一人ひとりが個々バラバラにさせられていき,さらには,学ぶ意味すら失われていくという状況にある。学びにおいて,知や技を共有すること,自己と他者の差異を越えその上で他者とつながること,それらを通して共に平和的に生きられる世界を構築することが必要であるにもかかわらず,それを達成するための教育実践の展開が難しくなっている今日において,共に学ぶ他者の回復は重要な研究課題であり,学びにおける他者の意味を問い返すことが必要である。学習における他者や集団の捉えられかたは主要には以下の潮流に整理できる。一つには,他者の存在の軽視。つまり,学習おいて他者を必要としない見地である。そこでは一人ひとり個別に教えることが理想とされる。二つには,学習の効率性のための他者。そこでは,授業を「集団過程」と捉えるが,「課題達成機能」と「集団維持機能」を高める手段とするものである。他方,吉本均を中心とする学習集団論は,学習における他者を,共に学ぶ他者として位置づけた。本研究は,学びにおける他者の意味を問い直すために,吉本均の学習集団論を主たる対象とし,そこでの他者の意味を考察し,その今日的意義と更なる検討課題を明らかにしようとするものである。
- 愛知教育大学教育実践総合センターの論文
- 2007-02-28
著者
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