無機ヒ素塩の土壌への吸着特性
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概要
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Arsenate and arsenite adsorptions were investigated on a soil. The maximum adsorption of arsenite estimated from the Langmuir adsorption isotherm was somewhat higher than that of arsenate, although in the low concentration range the arsenate adsorption was greater than that of arsenite. Proton consumption was not found for any of the arsenite adsorptions, denying the occurrence of ligand exchange reactions together with proton consumption in the adsorption. The adsorption of arsenate by the soil was constantly about 100% at pH<7.0, while the adsorption decreased with the increasing pH at pH>7.0. The arsenite adsorption by the soil increased with the increasing pH until the pKa value. The results of the desorption experiments showed that the adsorbed arsenate was fixed strongly by soil particles and that the adsorption mechanism of arsenite to the soil particles may be comprised of comparatively weak adsorptions and strong sorptions.アロフェン質黒ボク土を用いて,ヒ酸塩As(V), 亜ヒ酸塩As(Ⅲ)の吸着挙動を調べた.溶液pH5.0 平衡濃度0.0001-0.1mol L^<-1>(M)の条件下で, SOILCHEMによる形態予測によれば,大部分のAs (V)がH_2AsO_4^-の形態で,As(Ⅲ)が帯電していないHAsO_2の形態で存在した.低濃度域では,As (V)吸着量がAs(Ⅲ)より大きかったが, Langmuir吸着等温式から求められる最大吸着量はAs(Ⅴ)よりAs(Ⅲ)が多少高かった.As(Ⅴ) は吸着反応時にpH上昇したことから,H^+消費をともなう配位子交換反応が起こることが確認された. As(Ⅲ)の吸着では,H^+の消費が見られなかった. 溶液pHを変化させた場合,As(Ⅴ)の吸着量はpH<7.0で吸着量がほぼ100%で,pH>7.0でpHが上昇するほど吸着量が下がった.対照的に,As(Ⅲ)はpKa値までpH上昇に伴い吸着量が増加した.脱着実験結果から,土壌に吸着したAs(Ⅴ)は土壌粒子に強く固定されていることが示された.As(Ⅲ)は土壌試料に強く吸着しているものと比較的弱く吸着しているものの混在が考えられた.
- 九州大学大学院農学研究院,Faculty of Agriculture, Kyushu Universityの論文
- 2008-10-29
著者
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