福井農林学校の桑標本が北海道大学総合博物館に収蔵されている
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概要
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北海道大学総合博物館には,大正時代に福井農林学校で採集されたヤマグワ系品種「金子」と,ログワ系品種「魯桑」の2 点の栽桑標本が収蔵されている.これらの採集者や北大で収蔵されるに至った背景について検討した.これらの採集年代は,我が国における養蚕業の発展期であり,両品種は当時の福井県において最も代表的な品種であった.当時,札幌農学校で宮部金吾に師事していた植物病理学者,出田新が福井農林学校長を務めており,これらの標本は,出田によって宮部へ送られたものである可能性が高いことがわかった.福井の農業史・教育史および大学史の一端を伝える上でも貴重な資料であると考えられる.The specimens of mulberry trees which were cultivated at the Fukui Norin School in the Taisho era, are kept in the herbarium of the Hokkaido University Museum (SAPS). We examined these specimens, to clarify the collector information and social background of that age, and researched the related literature. They were mulberry varieties “KANEKO” and “ROSOU”. They were most popular cultivars in Fukui prefecture in that age when the sericultural industry was thriving in all over the Japan. We presumed that Mr. ArataIDETA, a principal of the Fukui Norin School sent these specimens to Sapporo. Mr. IDETA is a specialist of plant pathology and was a pupil of Dr. Kingo MIYABE in his student age of the Sapporo Agricultural College. A few graduation from the college, he had been communicating closely with MIYABE and his colleagues. These specimens are regarded as the important historical material recording the developmental process of sericultural industry in Fukui prefecture. They also represent a good interchange between Agricultural Schools and Agricultural College in the Taisho era.
著者
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持田 誠
北海道大学総合博物館
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持田 誠
北海道大学大学院農学研究科植物体系学分野:(現)北海道大学総合博物館
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持田 誠
北大 北方生物圏フィールド科セ 植物園
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持田 誠
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園
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