在宅療養高齢者ケアにおける訪問看護師とホームヘルパーの連携
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概要
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本研究の目的は,地域で暮らす高齢者を支援するために訪問看護婦とホームヘルパーがどのように連携しているかを明らかにすることである.対象は,同一事例にケアを提供する訪問看護婦とホームヘルパーである.データ収集の方法は,半構成的面接調査を用いた.分析は,両者の面接逐語記録をデータとして,内容分析を行なった.その結果,連携していると思われる文脈は268,連携していないと思われる文脈は234であった.各々の文脈は13項目に分類され,それらは高齢者の日常生活全体を覆う問題を含んでいた.これら13項目のうち,「医療看護処置」や「受診」では,「連携している」が「連携していない」よりも多かった.一方,「心理面」や「環境整備」では,「連携していない」が「連携している」よりも多かった.訪問看護婦とホームヘルパーが用いた連携の方法は6つであり,両者は,主にノートと電話を用いて連携していた.ホームヘルパーとの連携における訪問看護婦の役割は,専門職として保健医療の専門的知識技術を提供し,準拠枠となり,安心の状況をつくることであると考えられた.また,連携の方法として,会議や同行訪問が有効であると考えられた.The purpose of this study was to explore collaboration between visiting nurses and home helpers during care of elderly persons living at home. The subjects of this study were visiting nurses and home helpers who performed domiciliary care for the same elderly persons. The method of collecting information was by interview with open-ended questions. Data were analyzed by content analysis. As a result, 268 contexts and 234 contexts were classified into the categories of "collaboration" and "noncollaboration", respectively.Both sets of contexts were divided into 13 care items that included variousproblems in the daily life of the elderly. For items such as "Medical treatment" and "Consulting a doctor","collaboration" was found more often than "non-collaboration". On the other hand, for items like"Emotional support" and "Home environment", "non-collaboration" was found more often than"collaboration".The visiting nurse and the home helper collaborated in 6 ways. They used care notes and telephone callsas the main means of communication.The role of the visiting nurse is to collaborate with the home helper by providing technical knowledgeand suggestions for coping with the problems of the elderly encountered by the home helper. Holdingmeetings and visiting together were considered to be useful means for encouraging collaboration betweenthe visiting nurse and the home helper.
- 広島大学大学院保健学研究科の論文
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