在宅人工呼吸療法への移行にまつわる親の思いと意思決定 <特別論文>
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
21世紀に入り、小児医療においては、施設内医療から在宅医療へという医療システムの変化に伴い、子どもの入院期間を短縮させる方法が模索されている。長期入院患児には、呼吸器から離脱できない子ども達が含まれている。1950年代から1960年代にかけて急速に呼吸器の開発が進み、今や携帯用の呼吸器はラップトップヘと進化した。そして、呼吸器へのイメージは、「生命維持装置」から子ども達の世界を限りなく広げる「魔法の箱」となり、呼吸器は日常生活用具として考えられるようになった。そこで、呼吸器から離脱できない長期入院中の子どもの親は、子どもの今後における生活場所の選択を迫られる横会が増えた。しかし、子どもが呼吸器を装着したまま地域で生活するには解決すべき課題が多い。その上、病気の経過が明らかではなく、親は将来の見通しが得られない不確実な状況の中で在宅を決断しなければならない。看護者の役割は、子どもや親・家族の権利を尊重し、自己決定を支援することである。そこで、ここでは親の視点に立ち、呼吸器を装着した子どもの親を対象に行った2つの調査結果を基に、在宅への移行にまつわる親の認識を述べ、親の意思決定を支援するための看護援助を考えたい。親は子どもの発病から在宅への移行を決断する過程において、医療者との関わりから子どもの「命」と「育つ」ことへの医療者との認識のずれを経験していた。そして、親は子どもの存在に対する意味づけを変化させながら、在宅を決断していた。そのような在宅を決断するに至るまでの過程における親の認識の変容には、子どもが置かれている状況への親の不確実な思いが大きく影響していた...With the general shift from hospital care to home medical care for paediatric patients in the 21st century, several ways to reduce the duration of hospitalization of children have been sought. Most children hospitalized for a long time include those who must use a respirator at all times. Due to rapid progress in the development of respiration apparatus from the 1950s to 1960s, portable laptop type respirators are available today. The impression of a respirator has changed from a "life-sustaining apparatus" to a "magic box" that potentially opens up the world to the children who use it. Currently, respirators are regarded as a tool commonly used in daily life. As a result, the parents of a child who uses a respirator and is hospitalized for a long time often face the difficult choice of determining where their child should live. However, there are still many problems to be solved in order for children to stay at home in their local community using a respirator. Furthermore. parents must decide whether they should look after their child at home or keep him/her hospitalized without fully understanding the prognosis of their child' S illness and without knowing what the future may bring. One of the missions of nursing staff at the hospital is to help in this process of decision-making, while respecting the rights of the children and their parents and family members. In order to establish an effective manner in which nursing staff can support the parents in the decision-making process, the parents' perception of the transition of their children from hospital care to home care was investigated from the perspective of the parents, and was based on two studies of parents whose children must use a respirator at all times. ...
著者
関連論文
- 小児の自律に向けた在宅人工呼吸療養支援のあり方の検討 : 中・四国地方を中心とした実態とニュージャージー州におけるモデルケースによる検討
- 文献からみる小児看護学実習を指導する教員の実態と今後の課題
- 文献から見る小児看護学実習の現状と今後の課題
- 看護学実習の施設に関する文献検討
- 臨地実習における評価に関する研究の動向と課題
- 看護ケアの質の評価基準に関する研究 : 構造指標の開発に関する報告
- 【研究報告】在宅における超重症児の子育て支援に関する訪問看護師の意識(第二報)
- 【研究報告】在宅における超重症児の子育てと子育て支援に関する養育者の意識(第一報)
- がんの子どもの痛みに対する緩和ケアの実態 : 子ども・親・医療スタッフのコミュニケーションの実態と看護の役割
- がんの子どもの痛みに対する緩和ケアの実態 : 鎮痛剤・麻薬の使用と薬剤の使用以外の看護ケア
- がんの子どもの痛みに対する緩和ケアの実態 : 子どもの疼痛の判断と麻薬及び疼痛に関する認識
- 小児長期人工呼吸患者に主治医はどのような医療を提供すべきか (特集/こどもの呼吸管理) -- (小児疾患の人工呼吸管理)
- 小児リハビリテーションにおける海外での現状 (小児のリハビリテーション) -- (小児リハビリテーションにかかわる看護)
- 長期療養児の在宅ケア支援システムを構築して (特集 教員だからこそできる地域貢献)
- 在宅生活を支える訪問看護のあり方を考える--人工呼吸器使用中の子どもの支援から (特集 小児の在宅生活を支援する)
- 【資料】在宅における超重症児の子育てと子育て支援に関する文献検討
- 超重症児の在宅ケア支援システムモデル : 第1報 地域全体における「検討会」の活動とその効果
- 【資料】医療的ケアを必要とする子どもの在宅支援に関する文献検討
- 【研修報告】Pediatric Rehabilitation Nursing (小児リハビリテーション看護)とは -Salem State College in Massachusetts における日本赤十字広島看護大学国際看護学演習に参加して-
- 在宅人工呼吸療法への移行にまつわる親の思いと意思決定
- 呼吸器を装着した子どもの生活場所に対する親の意思決定
- 不確かさの概念分析
- 人工呼吸器を装着した子どもの在宅療養を選択する親の認識に関する研究 : 認識の変容過程
- 医療的ケアを必要とする子どもの在宅支援に関する文献検討
- 在宅における超重症児の子育て支援に関する訪問看護師の意識(第2報)
- 在宅における超重症児の子育てと子育て支援に関する養育者の意識(第1報)
- 在宅における超重症児の子育てと子育て支援に関する文献検討
- Pediatric Rehabilitation Nursing(小児リハビリテーション看護)とは--Salem State College in Massachusettsにおける日本赤十字広島看護大学国際看護学演習に参加して