<原著>アメリカ合衆国におけるバイリンガル特殊教育の発展過程 : 1954年から1970年代まで
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概要
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特殊教育を必要とし英語以外を第一言語とする児童生徒に対し、制度的な保障を行っているアメリカのバイリンガル特殊教育について、まず、その発展過程を踏まえ、いかなる教育理念が提起されたのかを考察することを目的とした。時代設定としては、教育機会均等化の契機となった1954年のブラウン判決からバイリンガル特殊教育が正式に認められた1970年代までを対象とした。方法としては、特殊教育とバイリンガル教育の制度的発展過程の中から特にバイリンガル特殊教育に関するものに焦点をあてて分析を行った。当該時期における特殊教育に関する訴訟は、障害のみに固執したものではなく社会的あるいは/または文化的言語的マイノリティの問題に密接したものであった。そこで提起された教育機会均等は、障害や人種、言語を越えるものとして受け止められた。また、バイリンガル教育に関する訴訟においても、教育機会均等における平等な教育的処置がもとめられ、法廷で認められるようになった。これらの理念は、特殊教育やバイリンガル教育の分野のみではなく、アフリカ系アメリカ人による公民権運動という社会的背景の影響を強く受けて浮かび上がったものであった。また、人種差別の問題及び社会的マイノリティや文化的言語的マイノリティの教育問題は、地域によっては数的なマイノリティのものではなかった。けれども、これらの運動が幅広く周知されるようになり、より数的にもマイノリティである特殊教育を必要とし英語以外を第一言語とする児童生徒への教育の発展にも寄与したことがうかがえた。
著者
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