非漢字圏日本語学習者のための漢字・語彙教育のシラバスに関する考察:認知心理学実験の知見を踏まえて
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概要
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日本語の文字教育では,平仮名・片仮名・漢字の順で文字の導入が行われるのが一般的で,仮名が一通り終わったら,もっぱら漢字教育に移行する。ところが,その順序が認知心理学実験の結果からは必ずしも支持されない。また,平仮名が一通り終わった後で平仮名の認識技能の訓練を行う必要があることも実験から確認できる。漢字に関しては,日本語教育で通常行われているような,いきなり単漢字中心の学習に入っていくアプローチにも問題が指摘できる。漢字のように,学習者がもつ文字体系との距離が大きければ大きいほど,その形態的特徴にボトムアップ式に慣らしていく訓練が必要であることはいろいろな実験の結果が示している。本研究では,そのような実験結果とその解釈を踏まえ,日本語の文字教育のあるべき姿を考え,漢字・語彙のボトムアップ処理トレーニングなどシラバスの在り方を検討する。When introducing the Japanese writing system in Japanese language eduction, the order is generally Hiragana, Katakana, Kanji, once the Kana sets have been dealt with, Kanji are taken up at the exclusion of further Kana skill practice. However, experomental findings in cognitive psychology do not support neither the order of introduction nor the consentration on Kanji at the expence of Kana. Experiments suggest that Hiragana are perceived as more complex shapes than simple Kanji, and that even at the intermediate learning stage processing of Kanji is far from automatic, requiring further skill training in these areas. Regarding Kanji, the orthographic distance that has expermentally been demonstrated between alphbetic and Kanji-based systems requires more bottom-up training techniques than hitherto practiced. This paper examines current practice in the light of such experimental findings and proposes a more realistic syllabus for Kana and Kanji training.
- 筑波大学留学生センターの論文
- 2000-02-20
著者
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