テレワーカーの生産性と信頼
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概要
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商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty十川廣國教授退任記念号 = In honour of Professor Hirokuni Sogawa50周年記念論文・退任記念論文本論文では,近年関心が高まってきているテレワークに関して,テレワーカー個人の生産性と彼らが属するチームの生産性に焦点を当てて考察している。前者については,従業員のワーク・ライフ・バランスを充実させ,生産性の向上につなげる1 つの手段としてテレワークを取り上げている。後者については,業務に着手する前,そして業務を行なっている途中の段階で,フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションの機会を意識的に作ることによって,それぞれのメンバーが取り組んでいる業務内容がより明確になり,効率的に業務に取り組むことができるようになり,それがチームの生産性向上につながると考えられる。また,この過程において醸成される信頼がチームの生産性の向上に貢献すると予想している。 以上のような考え方に基づき,仮説を構築し,これを検証するために,実際にテレワークを行なっている人々を対象とするアンケート調査を実施した。相関分析の結果,テレワーカー個人の生産性については,テレワークの実施により,業務に集中できる時間や機会が増大し,定型的業務・創造的業務の違いに関係なく,その状況が生産性の向上に貢献していることがわかった。また,テレワーク時に行なう業務内容と,オフィス勤務時に行なう業務内容がそれぞれ明確になるため,一方の生産性向上が他方の生産性向上にプラスに作用することも見て取れた。 また,チームの生産性については,上司や同僚とのフェース・トゥ・フェースのコミュニケーションの機会が多いほど,チームの生産性が高まり,信頼感の醸成にも貢献することがわかった。そして,この信頼感の高まりがチームの生産性の向上とプラスの関係にあることも同時に見出された。
- 慶應義塾大学出版会の論文
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