インドネシア中カリマンタン州の移住村における就業構造および土地利用が森林に与える影響 : REDDプラスの実施に向けた課題
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概要
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インドネシアの移住政策によって設定された移住村の住民にとって,天然林伐採事業やオイルパーム開発といった大規模森林開発は貴重な雇用機会の一つであるが,REDOプラスの進展に伴いその規模は縮小することが予想される。そこで本研究では,中カリマンタン州プランピサウ県に位置する移住村であるPM村を事例に,就業構造における森林開発の位置付けと土地利用との関係性を農村調査から明らかにし,REDDプラス実施に向けた課題を検討した。出稼ぎ労働はPM村において最大の現金収入源であり,その中でも森林開発に関連する職業の割合が最も大きく,またその出稼ぎ先の推移は中カリマンタン州の森林開発の動態とも一致していた。次いでPM村内の土地利用は,55.3%の所有地が利用されておらず,所有地および借地の一部において自給用の作物栽培およびゴムの植栽が行われており,周辺の国有林を開墾する事例は見られなかった。そして,ゴムの植栽を積極的に行っていたのは,出稼ぎを行い,土地集積を進める世帯であった。このような,人口の流出が認められ割当地に余剰が生じた移住村においては,森林開発の縮小に伴う雇用機会の減少に対して,現金収入源となりうる樹木作物栽培の支援が有効であると考えられた。
- 森林計画学会の論文
- 2013-02-28
著者
-
岩永 青史
筑波大学大学院生命環境科学研究科
-
天野 正博
早稲田大学
-
御田 成顕
筑波大学大学院生命環境科学研究科
-
Wijaya Chandra
筑波大学大学院生命環境科学研究科
-
穴倉 菜津子
筑波大学大学院生命環境科学研究科
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