木材加工企業による契約造林が農民に及ぼす影響 : インドネシア・西ジャワ州タシクマラヤ県の事例
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概要
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私有林面積が増加しているジャワ島において,木材加工企業B社によって実施された農民との契約造林を通して,私有林材の需要者であるB社と供給者である農民の関係を明らかにした。2007年時点で最大の面積で契約造林が実施された西ジャワ州タシクマラヤ県における農村調査から,農民は1999年からB社の木材買取価格の変動に応じて木材生産および植栽を続けてきたことが明らかになったが,安定的な供給は行われていなかった。B社は安定的に木材を確保するため,2006年から契約造林を開始した。契約造林は私有地および農園用地(国有地)で行われたが,農園用地で契約造林を実施した世帯は契約造林を実施していない世帯と同様に高い割合で農作物の間作を行っていた。その一方で,私有地で契約造林を行った世帯はほとんど間作を行っておらず,樹木を中心に栽培していたことから,私有地の方がより木材生産に特化し,増産に大きく貢献すると考えられた。しかしながら,伐採時期および木材買取価格の決定権がB社にあることから,農民側が企業に安い価格で木材を買いたたかれる危険性があるという問題も見受けられた。
- 林業経済学会の論文
- 2012-07-01
著者
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