プリオン不活化のための蟻酸処理が免疫組織化学の染色性に及ぼす影響

概要

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Creutzfeldt-Jakob病 (CJD) に代表されるプリオン病の診断には、中枢神経系の病理学的所見が重要であるが、プリオンは、通常の滅菌、消毒では不活化しないことが知られている。CJDと他の疾患との鑑別が必要となる場合や、CJDに別の疾患を合併する場合などがあり、診断に際して、プリオン蛋白に対する免疫組織化学的染色以外に、他の一次抗体を用いた免疫染色が必要となることも想定される。ホルマリン固定検体においては、切り出した組織を蟻酸に侵漬することで、プリオンが不活性化するとされているが、蟻酸処理が免疫染色性に影響を及ぼす可能性があるため、この点に関して検討を行った。使用する一次抗体の種類により程度は異なっていたが、全体としては、蟻酸処理により染色性が低下する傾向を示した。Ki-67 において特に低下が顕著であった。高温、小組織片、長時間での浸漬の方が影響を受けやすかったが、大脳は、他の臓器に比べて、染色性が比較的保たれる傾向がみられた。蟻酸処理した組織において免疫染色を行う場合は、染色性の評価に注意する必要があると思われる。
東京女子医科大学の論文
2014-03-31