GH47α-マンノシダーゼの触媒構造について(糖質関連酵素化学シンポジウム)
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概要
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GH47α-マンノシダーゼ(EC3.2.1.113)はマンノオリゴ糖の非還元末端から1,2-α-マンノースのみを特異的に切り離す特異性を有し,一般に分子量6万前後の単量体酵素として反転型(inverting)の加水分解を行う。動植物の小胞体,ゴルジ体で糖鎖プロセシングに係わる酵素もこのグループに含まれる。近年解明されつつあるGH47α-マンノシダーゼの独特な触媒機構について紹介する。アオカビPenicillium citrinum 1,2-α-マンノシダーゼ(MsdC)の結晶構造解析から,酵素は全体として(αα)_7バレル構造をとり,基質アナログ型阻害剤であるkifunensine(KF),1-deoxymannojirimycin(dMNJ)は底部に位置する触媒ポケットのsubsite-1に結合することが示された。MsdCとMethyl-α-lyxopyranosyl-1,2-α-mannopyranoside(LM)との複合体解析では,lyxose残基はsubsite-1に,Man-CH_3残基は+1位にそれぞれ結合していた。O6'OHのないlyxoseとの結合において,Arg407はKF,dMNJの場合にはみられない不活性型の配座(AC2)を示し,グアニジノ基を含む側鎖がGlu409に接近していた。AC2配座を防ぐ残基としてAsp375の役割が浮上した。GH47α-マンノシダーゼに共通した特徴として,切断点のグリコシド結合に直接アタックできる触媒基が見当たらず,グリコシドに対するH^+(または電子対)の授受はどちらも水分子を介して行われるという,独特のメカニズムが推定された。
- 日本応用糖質科学会の論文
- 2011-04-20
著者
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