1,5-アンヒドロ-D-フルクトースの機能研究と工業生産技術開発(受賞論文)
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概要
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1,5-アンヒドロ-D-フルクトース(1,5-AF)は澱粉をα-1,4グルカンリアーゼ(GLase)で分解することにより生成する糖質である。この1,5-AFの工業化を目指し,この糖の機能解析と生産技術開発を行った。その結果,1,5-AFの機能として抗酸化性,メイラード反応性および抗菌活性など多様な機能を見出した。1,5-AFを中華麺や果物ペーストに添加すると,酵素反応による変色が長期にわたり抑えられ美味しさをそそる色調を保てるようになった。1,5-AFの工業生産技術を開発するために,紅藻オゴノリから精製したGLaseをモチ米澱粉,プルラン,マルトオリゴ糖,分岐オリゴ糖およびリン酸化オリゴ糖に作用させた。その結果,GLaseはα-1,4グルコシド結合を容易に分解するが,α-1,6グルコシド結合に対しては近傍の構造によって分解速度が異なることが明らかとなった。また,リン酸が結合した部位では分解が停止することも明らかとなった。これらの結果を澱粉からの1,5-AFの工業生産技術の開発に応用し,世界で初めて1,5-AF大量生産技術を確立し1,5-AFを含有する新しいタイプの水飴「アンヒドロース(R)」として販売できる体制を整えた。
- 日本応用糖質科学会の論文
- 2011-01-20
著者
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吉永 一浩
鹿児島大学大学院農学研究科
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石場 秀人
日本澱粉工業株式会社研究開発部
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吉永 一浩
日本澱粉工業株式会社
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吉元 寧
日本澱粉工業株式会社
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片野 豊彦
日本澱粉工業株式会社
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石場 秀人
日本澱粉工業株式会社
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